ユニリーバ・ジャパン(東京都目黒区:代表取締役社長ジョイ・ホー)は、株式会社プラネットが提供する「ロジスティクスEDI」※1を活用し、卸売業に対して事前出荷情報(Advanced Shipping Notice、以下ASN※2)の配信を開始しました。順次、配信先の拡大を進めてまいります。
背景
近年、運ぶモノと回数の増加により、物流危機が叫ばれています。さらに2024年4月にトラックドライバーの働き方改革に関する法律が適用されることから、物流の停滞が懸念される「2024年問題」も目前に迫っています。
そんな中、ユニリーバ・ジャパンは、日用品メーカー・卸売業間の受発注から納品までの一連のプロセスにおいて、紙伝票の印刷・処理および納品時の検品に非常に多くの時間と手間がかかっていること、そしてそれがトラックドライバーの皆さまの荷下ろしや待ち時間の長さ、長時間労働の一因になっていることに着目。物流のデジタル化を通して効率化を図るべく、日用品メーカー各社、卸売業、配送事業者の皆さまとともに、共通の物流システム基盤「ロジスティックスEDI」を通じたASNの配信に着手しました。
まずは当社としてシステム環境等の整備を進めるとともに、配送業務を委託する物流事業者および納品先である卸売業の皆さまとASNの試験運用を実施。さらに、当社としての取り組みにとどまらず、日用品卸流通業界として推進すべく、株式会社プラネットがEDI参加メーカーと開催する「ロジスティクスEDI推進会議」、公益財団法人流通経済研究所が主催する「サプライチェーン物流生産性研究会」において、ASNデータの仕様や送信方法、さらには納品伝票レス運用に関する標準業務モデルの検討を進め、全国化粧品日用品卸連合会を通じて卸売業とも実用化へ向けた連携を図ってきました。ユニリーバ・ジャパンでは、2023年8月に試験運用を終え、2023年9月から実運用していく予定です。
狙い
ASNを配信することで、納品時の検品作業の簡素化や紙伝票の電子化が進み、荷受け作業の時間が短縮でき、物流における労働生産性の向上と物流資源の効率化が実現します。また、ASNをはじめとする個々の物流取引情報がデジタルデータ化されることにより、サプライチェーン全体の輸配送や在庫の最適化の推進が期待できます。
- ASN運用のメリット①伝票電子化によるペーパーレス化
ASN運用開始後(下図右)は、メーカーより卸売業の皆さまへ、納品伝票情報をASNのデータとして配信。入荷製品の受領後、卸売業の皆さまよりメーカーへ、ロジスティクスEDI※1経由で入荷検収データが配信されます。メーカー・卸売業とも紙伝票の印刷、保管、入力作業が省略され、業務効率化につながります。
- ASN運用のメリット②メーカー・卸売業間における納品時の検品レス化
メーカーより卸売業の皆さまへ、ロジスティクスEDI※1経由でASNを配信します。卸売業の皆さまは、事前に入手した納品明細情報に基づき入庫・格納作業を実施。入荷製品の検品作業を簡素化・省略し、納品車両のスループットタイム(納品拠点への入構から退出までの時間)を短縮できます。
ユニリーバのサステナブルな物流への取り組みと今後の展開
ユニリーバ・ジャパンは、世界共通の成長戦略「ユニリーバ・コンパス」のもと、物流従事者の皆さまや地球環境への負担のより少ない、サステナブルな物流を推進してきました。2021年4月には、メニュープライシングを取り入れた取引制度を導入。トラックが隙間なく積める量の製品をご発注いただけると割引になる「満車割」、ケース単位ではなくパレット単位でご発注いただけると割引になる「パレット割」、1週間以上前にご発注いただけると割引になる「早期発注割」など、物流の効率化につながる発注に対してインセンティブを設けるとともに、日用品・化粧品大手として初めてすべての発注を翌々日以降配送へ変更しました。この仕組みにより、導入後2年間で、トラックの台数を約5,800台、CO2排出量を950トン、トラックドライバーおよび物流従事者の皆さまの作業時間を約5,800時間削減。いち早くメニュープライシングを取り入れ、大きな成果を上げている先進事例として高く評価され、「サプライチェーンイノベーション大賞2023」では「大賞」を受賞しました。
今回それに加えてASN配信を開始することで、物流のデジタル化を通した生産性向上を一歩先へと進めます。ユニリーバ・ジャパンは、今後も卸売業、物流事業者の皆さまと連携し、日用品卸流通業界全体として物流効率化を推進します。そうすることで、サステナブルな物流への取り組みが“あたりまえ”になる社会をつくっていくことをめざします。