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革新的な技術で森林破壊ゼロのパーム油を実現

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私たちは、パーム油の調達において森林破壊ゼロを継続できるよう、革新的な技術を活用すると同時に、調達先の地域の小規模農家を支援しています。ユニリーバのサステナブルソーシング部門のシニアマネージャー、Rauf Prasodjo がその方法を説明します。

アブラヤシの森の中、茶色のTシャツを着て正面を向いているユニリーバのサステナブルソーシング部門シニアマネージャー、Rauf Prasodjo氏。
ユニリーバのサステナブルソーシング部門シニアマネージャー、Rauf Prasodjo氏。
ユニリーバのサステナブルソーシング部門シニア マネージャー、Rauf Prasodjo氏

ユニリーバは、森林などの自然農業生態系を保護・再生しながら、ビジネスを成長させていくことをめざしています。

森林は地球の肺であり、希少で絶滅の危機に瀕する野生生物の生息地であり、10億人を超える人々の生活の源となっています。

大学卒業後、私が最初に就いた仕事の一つはインドネシアにある世界的な環境シンクタンクでした。そこで森林破壊がもたらし得る壊滅的な影響を目の当たりにしました。

インドネシア中部カリマンタンの田舎で車を運転中、高速道路の真ん中で煙と火の手が上がるのを見たのを覚えています。地元の人々の話では、野焼きの季節だということでした。アブラヤシの農地を広げ、パーム油の需要に応えるために、企業が自然の生息地を焼き払っていたのです。

パーム油そのものは問題ではない

ユニリーバは、消費財企業の中でも、持続可能な認定パーム油の購入量の最も多い企業のひとつです。「なぜまだパーム油を使用しているのか」とよく尋ねられます。

パーム油は最も土地効率の高い、つまり、少ない農地でたくさん収穫ができる植物油です。実際、アブラヤシは世界の植物油生産量の40%を占めていますが、アブラヤシの種子向けの農地は、わずか6%です。

また、パーム油は、世界のパーム油生産量の80%以上を占めるインドネシアとマレーシアの何百万もの農家やコミュニティにとって、生活の糧でもあります。

しかし、パーム油産業の急速な拡大により、森林破壊が加速化しました。また、低い生産基準、土地紛争の増加、労働者の権利問題などの難しい問題も生み出しています。

私たちは、パーム油を購入している主要な企業として、農家および地域社会から、野生生物、自然に至るまで、パーム油にかかわるすべてのステークホルダーに利益をもたらせるようにしたいと考えて、パーム油業界の変革において重要なリーダーシップを担ってきました。

私がユニリーバのサステナブルソーシング部門のシニアマネージャーになったのも、人々と環境によりよく、より大きな変化を起こしていきたいという思いからです。

これまでの道のり: 森林破壊ゼロのサプライチェーンに向けた取り組み

2020年、私たちはパーム油、紙・ボール紙、茶、大豆、ココアのサプライチェーンにおいて、森林破壊ゼロ、土地転換ゼロにすることをコミットメントとして掲げました。

これら5つの主要コモディティは、ユニリーバが土地に及ぼす影響の65%以上を占めます。また、森林破壊や自然生態系の農地転換の原因となりやすい作物でもありますす。

私たちのコミットメントは、これらの作物で森林破壊ゼロを継続すること。農業やその他の使用目的で森林伐採された土地からの作物を購入しないよう徹底することです。

2023年末に、ユニリーバが使用する主要コモディティの97.5%が、森林破壊ゼロで調達できました。これは第三者機関によって保証されています。この成果を達成することは、かなり難しいチャレンジでしたが、素晴らしい機会でもありました。

多くの志を同じくするパートナーとの協力を必要としました。これには、直接サプライヤーや、森林地帯のサプライヤー、地域社会、政府、その他の企業、技術パートナーが含まれます。

今後も社外のパートナーと一丸となって、規模とテクノロジーを活用し、引き続き発展させていきます。

森の中で森林破壊フリーとトレーサビリティ要件を調査する、黒と緑の服を着た2人の男性。

テクノロジーの活用

私たちは大手テクノロジー企業や革新的なスタートアップ企業と協力して、衛星データ位置情報ブロックチェーン人工知能を活用して、パーム油のトレーサビリティを変革する新しいアプローチを構築しています。

たとえば、当社のパートナーであるEarthqualizer社は、高品質の土地利権データと衛星モニタリングを活用しています。業界最高水準のアカウンタビリティデータのインベントリと組み合わせることで、東南アジア全体で2,000万ヘクタール超の地域をモニタリングすることができます。

このほか、パートナーの中には、位置情報を収集し、小規模農家のマッピングを行っているところもあります。また、当社では一度記録されたデータを改ざんできないようにするためにブロックチェーンを使用しています。

しかし、私たち一社だけでは、持続可能なパーム油を“あたりまえ”にすることはできません。

たとえ私たちが地域で最も持続可能な農園から原料を調達していても、近隣の農園が森林破壊や泥炭地の排水を行っているのであれば、私たちの努力は効果を失うでしょう。

関わりを深め、生活水準の向上を支援

私たちは、直接調達プログラムや小規模事業者の支援ハブを通じて、これまで持続可能なサプライチェーンから取り残されてきた搾油工場や小規模農家に働きかけています。

そうした小規模農家であるUD LestariとKUD Tani Subur は、私が直接担当者となり農業研修を支援してきました。バリューチェーンにおける前向きな変化を直接目にできるのは、すばらしいことです。

収穫、剪定、農業慣行の改善により、収穫量が平均で13~15%増加したという報告を受けています。

こうした小規模農家から直接購入することは、農家の生産性と収入を上げ、土地をよりよく管理できるようにし、森林伐採の誘因を減らしていくことにもつながります。

:  緑のジャケットを着て正面を向いてカメラを見ている女性。彼女はアブラヤシの木々に囲まれています。

サプライチェーンの透明性を向上

これまでに、農家の同意を得て、当社にパーム油を供給している国々の36,000件以上の小規模自作農家をマッピングしました。

私たちの目標は、トレーサビリティと透明性の向上を支援し、現地の農家のニーズを理解することです。

また、3万4,000の小規模農家に農法などの研修を実施し、より質の優れた作物を収穫し、収入が上げられるよう支援しています。

また、私たちは1万4,000の小規模農家が RSPO (持続可能なパーム油のための円卓会議) の認証を受けるのを支援してきました。

これらの取り組みにより生活水準を向上させながら、自然の保護・回復という目標に一層近づいています。

また、こうした取り組みが奏功して、当社のサプライチェーンや業界内で、持続可能で森林破壊ゼロの認定パーム油の量も増加しています。

業界の幅広い変化を推進するための取り組み

森林破壊ゼロであると自信を持って言えることは、当社にとってだけでなく、製品の原材料のことをもっと詳しく知りたいと思う消費者の皆さまや市民団体にとっても重要なことです。

森林破壊はより大きな規制問題にもなりつつあります。

米国や欧州連合 (EU) などの国々は、森林リスク・コモディティに関する独自の基準を定めており、それが準拠できるよう徹底する必要があります。

そのため、私たちはインフラへの投資を継続し、技術パートナーシップを維持・強化し、サプライヤーや小規模農家とのトレーサビリティプログラムをさらに構築しています。

パーム油に関わるさまざまなステークホルダーの意見に耳を傾け、地方自治体、サプライヤー、小規模農家と関わり、協力して解決策に取り組むことで、私たちは業界全体に真の変化を生み、推進することができるでしょう。

気候、自然、プラスチック、生活に関する最新の取り組みについて、詳しくはユニリーバ・グローバルのウェブサイトおよびユニリーバ・ジャパンの「サステナビリティ」のページをご覧ください。

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